墓じまいにも、いくつかの方法があります。
代表的なものとして
①現在のお墓があるお寺にお骨の永代供養をお願いする
②自分の住んでいる場所の近くや都合の良い場所に移す
の2つです。
その他、散骨や手元供養など、お墓としての形ではない新しい方法もあります。
いずれを選ぶ場合も、現在のお墓をしまって、別のところへ移すことを改葬といいます。

 

 
 

墓地の形態や弔い方

 

墓地の形態や弔い方の例として次のようなものが挙げられます。
 
先祖墓・・・家族を祀り、子孫へ受け継ぐお墓。「○○家の墓」
個人墓・・・個人だけを祀るお墓
夫婦墓・・・夫婦を祀るお墓
両家墓・・・長男、長女の結婚や、一人娘の結婚により、両家を祀ったお墓
 
永代供養墓・・・継承者がいない人や継承を前提としない人を祀ったお墓
共同墓・・・友人や信仰を一つにする者を祀ったお墓
納骨堂・・・個別に入れた骨壺をロッカー様式などに収めておくお堂
手元供養・・・遺骨の一部を手元に置いて供養するもの
自然葬・・・山や海に遺骨をまいて供養する「散骨」や、決められた樹木の根墓に埋葬して土にかえす「樹木葬」
 

 

お墓の継承

 
お墓を継承するとはどういうことでしょうか。
誰かが亡くなると、その人の財産を相続人が引き継ぐことになります。相続する財産としては預貯金や土地建物等が思い浮かぶと思います。
これらの相続財産は、相続手続きを経て、対象となる相続人が数人で分けて継承します。
これに対して、仏壇、仏具、神棚などの祭具、系譜(家系図)、墓地墓石などの墳墓(お墓)は「祭祀財産」といわれ、祭祀承継者といわれる一人だけが相続することになります。祭祀承継者は、祭具の管理・維持・祖先の供養、そして、墓地・霊園の管理料を支払い、使用契約の尊守義務を負います。
 
祭祀承継者の決め方については
民法第897条に
慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する
と定められています。
一般的には、個人が生前に誰を祭祀承継者にするのかを指定しますが、特に指定がなければ、家族や地域の慣習によります。
それでも決まらなければ、家庭裁判所に調停または審判を申し立て、決定します。
また、祭祀承継者がお墓を継承する際には、墓地管理者へ届け出る必要があります。
お墓が寺院墓地の場合はお寺へ届け、檀家としての立場も引き継ぎます。お墓が霊園にある場合は霊園の管理者に届け出ます。
お墓が相続人の所有地にある場合は、土地の相続登記も必要になります。

 

まとめ

 
少子高齢化や地方の過疎化と都市への人口集中、核家族化などにより、地方の墓地では管理が難しくなってきたとお考えになる方も増えてきているようです。
墓じまいという言葉から、なんとなく罪悪感を感じたり、自分の代でお墓をたたむのはご先祖様に申し訳ないと思われる方もいると思います。
お墓は、その場に収めることが故人の供養となり、遺された人たちの心のケアになる役割が大きいと思います。
その大切なお墓が、管理されることなく放置され、無縁仏の状態になるのはとても悲しいことです。
お寺にその後の供養をお願いしたり、管理できる場所へ移動したり、故人を供養する手段を心を整理しながらゆっくり考えていくのもよいと思います。