どの相続人がどの遺産をどれだけ相続するのかを決め、具体的な相続分に応じて分配することを遺産分割といいます。

民法で定める遺産分割の方法には①指定分割②協議分割③調停・裁判による分割があります。

 

①指定分割とは
指定分割とは、被相続人が遺言で遺産の分割方法を定めることをいい、相続人はそれに従う必要があります。
遺言で、相続開始5年以内であれば分割を禁止することもでき、また、分割方法を第3者に委託することもできます。
例えば、「遺産の分割方法は長男に任せます。」と、遺言に遺すような場合です。
指定分割は、協議分割、調停・審判による分割より優先されます。

②協議分割とは
協議分割とは、共同相続人全員の話し合いによって分割する方法をいいます。
遺言による指定がない場合は協議分割となります。
ただし、遺言が存在する場合であっても、共同相続人全員の話し合いによって遺言と異なる合意が成立した時は、協議分割が優先されます。
共同相続人の全員が合意すれば、遺言の指定や法定相続分によらずに自由に分割することができます。

③調停・審判による分割

1)調停による分割
相続人全員での遺産分割協議が整わない場合、まず第三者を交えた話し合いによって解決するよう調停を申し立てます。
家庭裁判所において、裁判官と共に調停委員2名が当事者に加わり、話し合いによって意見調整を図り遺産分割協議を成立させる方法です。

2)審判分割
調停が不成立となった場合、家庭裁判所の審判により遺産分割を成立させます。
審判は、一度確定すると指定された方法で分割しなければなりません。

 

相続人全員の意見が一致し、遺産分割協議がスムーズにすすめばよいのですが、調停や審判での分割になりますと、時間も労力もかかり、精神的にも身体的にも負担になってしまいます。
できれば、相続人のためにも遺言で相続分を指定し、争いとならないようにしておくことが良いですね。