深夜酒類提供飲食店を営業する要件には営業所の構造設備の要件と用途地域の要件があります。
営業所の構造設備について
営業所の設備や構造は以下の要件を満たす必要があります。
①客室の床面積は、1室の床面積を9.5㎡以上とすること(ただし、客室の数が1室である場合は、この限りではない)
②客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
見通しを妨げる設備とは、高さがおおむね1メートル以上のものです。カウンターやいすの背もたれ、また観葉植物なども、床からの高さが1メートルを超えないように設置する必要があります。
③善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
④客室の出入口(営業所外に直接通ずるものを除く)に施錠の設備を設けないこと。
⑤営業所内の照度が20ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
客席に食卓その他の飲食物を置く設備がある場合→当該設備の上面及び当該上面の高さにおける客の通常利用する部分。
それ以外の場合→椅子がある客席にあっては椅子の座面及び当該座面の高さにおける客の通常利用する部分。
椅子がない場合は、客の通常利用する場所における床面。(畳又はこれに準ずるものが敷かれている場合にあってはその表面)が、20ルクス以下とならないようにする必要があります。
⑥騒音又は振動の数値が基準値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
営業禁止区域
都市計画法により、都市の環境保全や利便の増進のために、地域における建物の用途に一定の制限を設けています。
深夜における酒類提供飲食店営業は、政令で定める基準に従い条例で定める地域内においては、営むことができません。
その基準として、住居集合地域(住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土地が少ない地域)内の地域について、深夜における酒類提供飲食店営業の態様その他の事情に応じて、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要最低限の営業の規制を行うべきとされています。
ただし、営業地域を規制する条例の施行又は適用の際、既に届出をして営んでいる深夜における酒類提供飲食店営業については適用されません。
都市計画法により定められる用途地域のうち、静岡県の条例では下記の地域で深夜酒類飲食店営業はできません。
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・第1種中高層住居専用地域
・第2種中高層住居専用地域
・第1種住居地域
・第2種住居地域
・準住居地域
・工業専用地域
深夜酒類提供飲食店の禁止事項
①18歳未満の者を午後10時以降客に接する業務に従事させること。
②従業者に対し、拘束的行為をすること。
③18歳未満の者を午後10時以降客として立ち入らせること。(保護者同伴の場合は除く)
④20歳未満の者に酒やたばこを提供すること。
⑤深夜0時以降に客に遊興をさせること。
遊興とは・・・
営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせること。
具体的には
・不特定多数の客に歌、ダンス、ショーなどの興行等を見せる行為
・不特定多数の客に歌手の生歌、生バンドの演奏等を聞かせる行為
・のど自慢大会等客の参加する遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為
・カラオケの装置を設け、不特定多数の客に歌うことを勧奨し、スポットライトを当てるなどし不特定の客の歌をほめやかす行為
まとめ
深夜まで酒類を提供する飲食店を営業したい場合、通常の飲食店営業許可は保健所への許可申請となりますが深夜酒類提供飲食店営業は警察庁(公安委員会)への届出となっています。
これは、通常の飲食店と比べ、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する可能性や、又は少年の健全な育成に障害を及ぼす可能性が高いため、法により、より厳しく規制する必要があるということです。
また、深夜酒類提供飲食店営業であると思っていたが、風俗営業に当たるという場合もあります。
要件等細かい規定も多くありますので、ご不明点がある方はお気軽にお問合せ下さい。