農地法とは
日本は国土が狭く、その3分の2が森林であるため、居住地域や商業・工業に利用できる面積が小さいうえに、人口が1億人を超えることから、計画的で合理的な国土の利用促進が重要な課題となっています。
一方、農地がなければ食糧を生産することができないため、むやみに農地を減少させることもできません。
このように、国土の利用は、住宅や商業・工業用地の確保と食糧を生産する農地の確保との要請が競合しています。
農地法では、この両方の観点から計画的な土地利用の推進を目的として、許可・届出制度を導入しています。
どのような場合に農地に関する申請が必要なのか
① 農地を売買する場合
② 農地を賃貸借する場合
農地を農地のままで、それを耕す人(持ち主)が変更になる場合、許可・届出が必要です。
注意)3条許可は、農地を売買して手に入れるための許可ですが、農地の買受人(又は借受人)になるためには、一定の要件を満たす必要があります。(例:買受人の農家要件など)
農家でない者が、農地をそのまま買おうとしても、買えない(許可が下りない)ということです。
③ 自分の農地を自分が使用する為に、宅地、駐車場、一時的な資材置き場などに転用する場合
自分の農地を農地として使用せず、別の用途に使用したい時、許可・届出が必要です。
④ 自分の所有する農地を売買・賃貸借し、農地以外のものに利用する場合
農地の持ち主が変更になり、また、変更後に農地以外の別の用途に使用したい時、許可・届出が必要です。
開発行為とは
都市計画法における開発行為とは「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう。」と定められています。
土地の区画形質の変更を分類整理すると、区画・形・質に分けられ、次の検討が必要となります。
① 区画の変更
道路や水路の新設、付替え、廃止等を行うもの、又は見切り等の設置、除去もしくは移転により、境界を変更することをいいます。
② 形の変更
土地の切土、盛土を伴うもので、現状の地盤高さを変えて利用する場合です。
具体的には、切土の高さが1メートル以上の場合、
盛土の高さが0.5メートル以上の場合、一体的な切盛土の高さが1メートル以上の場合が対象となります。
なお、建築物の建築自体と不可分一体な工事と認められる基礎工事・土地の 掘削行為は「形」の変更には該当しません。
③ 質の変更
農地等の宅地以外の土地において、主として建築物の建築又は特定工作物の 建設の用に供する場合をいいます。
上記の「区画」「形」「質」の変更のうち、いずれか一つ以上に該当し、かつ下記面積以上の土地を造成する場合は
開発行為の許可を受ける必要があります。
市街化区域 1,000平方メートル以上
市街化調整区域 500平方メートル以上
農振除外とは
転用したい農地が農業振興地域の「農用地区域」に該当していた場合、農地の転用許可を受ける前に農用地区域からの除外(農振除外)をする必要があります。
農業振興地域とは、市町村の農業振興地域整備計画により、農業を推進することが必要と定められた地域です。
国内の農業生産に必要な農地を確保し、食料の安定供給や農業の持つ多面的機能を発揮するため、国の基本指針において示した農用地等の確保等に関する考え方を、県の定める基本方針や市町の定める整備計画に反映し、優良農地を良好な状態で維持・保全し、有効利用を図ろうという仕組みです。
そのため、農業を推進する地域の農地を転用する場合は、除外の許可を受けてからでないと農地以外の目的に使用することはできないようになっています。
農振除外申請の要件は次の4つであり、全ての要件を満たす必要があります。
①変更に係る土地を農用地以外の用途に供することが必要かつ適当であって、農用地以外に代替すべき土地がないこと
②農用地の集団化・農作業の効率化その他土地利用の効率・総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと
③効率的・安定的な農業経営を営む者に対する農用地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがないこと
④農用地等の保全又は利用上必要な施設の機能に支障を及ぼすおそれがないこと
⑤土地基盤整備事業完了後8年を経過しているものであること