私の住む地区では、各家庭から積立金を集め、集会施設の建て直しを検討しています。
また、私の実家のある地区では、私の子どもの頃からあった古い公民館が取り壊され、数年前に新しい公民館が建てられました。
ここ数年は防災意識が高まっていることもあり、災害時の避難場所として利用できるよう、集会施設の建て替えを検討する町内会が多いようです。
この集会施設は誰の財産となり誰の名で登記されるのでしょうか?
町内会は法人格を持たないので、その町内会の名で集会施設の登記を行う事は出来ません。
そのため、一般的には町内会長のような会の代表者や役員の共同名義で登記をしています。
しかし、代表者は何年か毎に交代することが多く、また、代表者が亡くなったり、転居したりした場合等、団体の会員でなくなったとき、名義変更や相続などで問題が生じる場合があります。
そこで、平成3年に地方自治法が改正され、一定の要件に該当するものについては、手続きのうえ、市長から認可を受けることで、法人格を取得できるようになり、団体名での不動産登記ができるようになりました。

 

 
 

地縁団体とは

 

地縁団体とは、「町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体」、と定義されています。区域に住所を有することのみを構成員の資格としており、自治会、町内会のように区域に住所を有する人は誰でも構成員となれる団体は原則として「地縁団体」とされています。
生産組合などのように、活動の目的が限定的に特定されている団体や、婦人会などのように、構成員となるためには、区域内に住所を有すること以外に、性別などの条件が必要な団体は対象となりません。
この地縁団体が、市長の認可を受け手続きをすることで認可地縁団体となり、法人格を有し、団体名義での不動産登記が可能となります。

 

認可の要件

 

認可を受けるには以下のような要件が必要となります。

・原因となる土地等の財産を実質的に保有または保有予定であること
・良好な地域社会をつくるための地域的な共同活動を行うことを目的とし、実際に行ってきていること
・その区域が住民にとって明らかなものであること
・その区域に住む全ての人が会員になることができ、実際にその区域内の多くの人が会員になっていること
・規約を定めていること

 

認可の申請

 

認可は、町内会長等、町内会の代表者からの申請に基づいて行うことと定められています。この申請に当たっては、次のような添付書類が必要となります。

①規約
目的、名称、区域、事務所の所在地、会員の資格、代表者に関する事項、会議、資産が定められていることが必要です。
 
②認可を申請することについて総会で議決したことを証する書類
市長の認可を受けると、従来の「権利能力なき社団」から「法人」に組織の性格が変わることになりますので、申請に当たっては、町内会の総会で認可を申請することの議決を得て、この議決を得た総会の議事録等の写しが必要となります。
 
③構成員の名簿
構成員は世帯単位ではなく、個人全員の氏名及び住所が記載された名簿が必要となります。
 
④保有財産目録又は保有予定財産目録
申請時に不動産又は不動産に関する権利等を保有している場合は「保有資産目録」を、また、保有を予定している場合には「保有予定資産目録」を作成しなければなりません。
 
⑤地域活動を行っていることを起算した書類
良好な地域社会の維持及び形成のための地域的な活動を行っていることを記載した書類として、事業報告書及び収支報告書など、具体的に記載されたものが必要です。
 
⑥申請者が代表者であることを証する書類
申請者を代表者に選出する旨の議決を行った総会の議事録等の写しを代表者であることを証する書類として提出します。
 
⑦代表者本人の承諾書の写し
代表者本人が承諾した書面が必要です。

 

町内会を認可地縁団体とするには様々な手続きが必要となり、様々な書類を揃える必要があります。また現状の地縁団体での登記の状態により、より手続きが煩雑となる場合があります。
町内会の会長となったが、集合施設の維持について疑問をお持ちの方、認可地縁団体の設立をお考えの方はお気軽にご相談下さい。